ドローン規制と技術促進について
日本のドローン規制など毎日のようにニュースなどで流れていますが、現在民間の関連会社と政府系機関で一緒になってガイドラインの策定や規制案を議論しているとのことです。
現在のドローンなどマルチコプターの機体の状況を鑑みると(鳥がぶつかったら墜落するかもしれないし、クアッドコプターは1つプロペラが動作しなくなったら墜落するし、急な雨風による墜落などなど課題はある)、安全性を高めるための「何か」は必要だと思いますが、日進月歩の技術革新が進む中、現在の状況に対して規制をしても半年後にはその規制が邪魔になる可能性はあります。
もちろん一方で規制が技術促進をすることも考えられます。自動車産業が原油高や環境規制により、省エネな燃費性能のよう車が開発されたように、安全性に対する規制によって、鳥さんを認識して回避するシステムやヘキサ・オクトコプタのように冗長性を持たせるとか、防水・防風仕様とか(既に技術はある)がより促進することも考えられるわけです。
例えば「産業用途のUAVには、揚力を発生させる部分には冗長性をもたせ、対人・対物を認識し回避でき、風速10m、降水中の飛行が可能なこと」が最低基準だったら…。
環境規制のように、一見ハードルが高そうだけど方向性としては進むべきものに対する規制はポジティブに捉えることができ、無闇矢鱈と「東京都・千葉県立の公園での飛行は全面禁止」ようにただ禁止するだけでは関係者にも、そうでない人にもネガティブな反応しか産まないです。
規制とガイドライン
イギリスでは、規制として既に高度150m以上、あるいは1000人以上の人がいる上空、または飛行禁止エリアの近くは法的にも制限されているようです。中国などの規制の厳しい国からするとゆるいのかもしれませんが、規制の制限の仕方がやはり微妙です。アメリカでもFAAが関係団体や民間企業(Amazonなどとの協議によりFAAが有視界飛行以外を許可なども)と協議をしながら規制を策定しています。
これらの規制とは別に方針や指針をまとめたガイドラインが存在しますが、今回RCAPAという団体で策定されたガイドラインについて理解するために全文日本語訳しました。違反することによる罰則やなどは存在しないですが、航空機を飛行させる上での基本的なマナーであり、安全性を高めるためのガイドラインでもあり、ドローンやマルチコプターを飛行させる上でも基本的な注意点が含まれていると思います。
RCAPA(Remote Control Aerial Platform Association)とは
RCAPAは操作上のガイドラインを定義すること自体が目的の一つとして設立されている団体で、2004年に設立されています。無人機を含む飛行機において、商用・ホビー問わず安全のためのガイドラインを策定したり、FAA(アメリカの連邦航空局)など各種規制を行う側との積極的な議論などを行っている団体です。クリス・アンダーソンが設立したドローンコミュニティ「DIY Drones」でもでも紹介されていたガイドラインです。
以下、RCAPAのガイドラインの日本語訳です。少々おかしいところがありますがご愛嬌…。
http://rcapa.net/guidelines/
RCAPA general guidelines
RCAPAでは、すべての飛行機において操作上の安全を最も重要な事項と考えた上でガイドラインが策定されている。ガイドラインの内容は大きく5つ。
- 基本ガイドライン
- 航空機のプロペラの組み立てとテスト
- 飛行時チェックリスト
- メンテナンスと記録
- その他推奨事項
基本ガイドライン(General)
- FAAやノータム(航空情報の一種)、TFR(Temporary Flight Restrictions、災害時などの制限)の規制などは把握した上で我慢する!
- 人が乗る飛行機はいつでも優先される
- 人やものを載せ過ぎない
- 飲酒・薬物を摂取している状態では飛行しない
- 航空機はいつでも見通しを良くしておくこと
- 光学システムを使う場合は指定の監視するひとを付けること
- 機体を安定させるための装置やGPSでの安全装置による自動帰還などは問題ない
- 完全な自立飛行はNG
- 航空規制されている空域について明確な理解を持っておくこと
- 対空性のある機体出ない限りは飛行させない
航空機のプロペラの組み立てとテスト(Proper Building of the Aircraft and Testing)
機体によって組み立てなどにより様々なので、すべてに共通して考慮すべき事項を上げる。
- すべてのフライトにおいて十分な大きさの機体であること(?)
- 着地場所よりも機体が小さいこと
- 機体の色はいつでも見えやすい色にすること
- カメラなど付属された装備の重さが加わること
- 飛行中に搭載可能な積量
- 本番前に飛行テストと飛行に耐えうることを確認する
- 撮影機材なども装備した上で最後のテストフライトをすること
フライト時のチェックリスト(Flight Operation Checklists)
フライト時のチェックリストは、飛行前、システム制御確認、離陸前、フライト中操作、フライト後の大きく6つに分けられる
フライト前チェック事項
- 最初のフライトの前に、すべての送信機、機体、カメラが正常で、バッテリーがフル充電されているか確認する
- 操縦面のランプなどに異常がないか、ネジに緩みがないかなどを確認する
- ホーン(機体の部品)やブラケットがただしく結合していて安全に問題ないか確認する
- 翼が機体に対してまっすぐ整列されているかなど機体の構造に問題ないか確認する
- 機体にモーターやエンジンが正しく取り付けられているか確認する
- プロペラがかけていたり、変形していたり、ゆるくなっていたりしないか確認する
- 着陸時のギアやホイールや足場が正しい形状で問題なく動作するか
- サーボや各受信機などが正しく取り付けられているか
- 機体に電源が入るか
- 撮影機材などが安全に使用できるものか
- 機体の目視チェックを実施すること
- フライト前に飛行に適していない部分が見つかったら修理もしくは交換すること
- 燃料をいっぱいにすること
- 操作上の障害となるようなエリアがないか確認する
- 一般人に危害を加えないために障壁や警備人員どちらが必要か決める
- 障壁か警備人員のどちらか、または両方を用意する
システム制御チェック
- 送信機をONにする前に、利用している無線が他に使われていないか毎度確認すること
- モーター・プロペラの起動前に、自身の身体や服などに邪魔なものはないか付近に居合わせた人などいないか機体の安全を確認し、もし突然モーターが起動しても動かない(?)
- CLEAR PROP!と叫ぶ
- 送信機の電源を入れて、各メーターなどが正しいか確認する
- スロットルのスティックがOFF状態にあることを確認する
- バッテリーもしくは機体の電源を付ける
- 送受信機の推奨される処理を行う
- 操縦面の確認
- サーボに異常音などなく安定しているかの確認
- モーターとプロペラを確認し、ゆっくりとスロットルを上げフルパワーにして停止状態に引く。この時にガタガタしたり異常がないかを確認する。スロットルを下げた時にモーターが停止ることも確認する。
- 撮影装備の電源がつき正しく動作するか確認する
フライト前
- 送信機のアンテナ感度が問題ないか
- 送信機のトリム調整は適切か
- 受信機のアンテナ感度は問題ないか
- 離陸する場所は障害物や人がいないところか
- 天気の状態と緊急着陸場所をダブルチェックする
- フライトタイマーをセットする
- TAKE OFF!と叫ぶ
- 機体を発信させる!
フライト中
- 安全な高度に上昇して制御システムをチェックしトリムが必要ならば行う
- 人や建物から距離を取り安全な状態を保つ
- 人や建物の上空を飛行するときは、安全な高度に注意し、必要最小限の時間で飛行を終える
- 危険がないか、上空・地上ともに随時チェックする
着陸するとき
- 制御システムをチェックしトリムが必要ならば行う
- 着陸場所に障害となるものがないか確認し、再度天気状態を確認する
- LANDING!と叫ぶ
- 回りながら準備する(?)
- 人や建物から離れて注意して機体を着陸する
フライト後
- 機体の電源をOFFにしてバッテリーをきる
- 送信機をOFFにする
- 撮影装備の電源をOFFにする
- 機体の損傷などがないか目視でチェックする
- 利用しない燃料があれば取りはずす
- 機体を安全な場所に移動する
メンテナンスと記録書(Maintenance and Log Books)
どんな損傷であれ、次回フライトまでには修理もしくは交換しておくこと。記録書はフライト中に記録するだけでなく、修理状況なども含めて記録すること。
各機体は機体に接続することができる識別番号と記録書と一致させ、記録書は機体と一緒にしておき、修理などを行った後はいつでも検証を行い、メンテナンス記録書にも記載すること。
その他推奨事項(Other Recommendations)
空中や地面の各種障害を検知する負荷を減らす意味でも、監視する人はいつもいたほうがよい。経験のある監視役は地上の被写体の撮影においてもとても助かるものである。
周波数監視装置は飛行機具に加える価値があり、特に人口密度が高いエリアを把握できる。
最後に
Know yourself. There is quite a bit of difference between the types of aircraft, photography equipment, and configurations that the association members use. There is also a wide range of differences in pilots, photographers, builders, inventors, technicians, engineers, and personalities in RCAPA. Never “bite off more than you can chew” when it comes to flying – know your own personal limitations. This will almost always make you a safer remote control aerial photographer.
「無理はしないでね!」と。