※最新のドローン規制法に関する記事はこちら
先日も「ドローン大運動会」のようなポジティブなイベントでドローンも盛り上がりを見せております!が、安全なドローン活用の一歩としてドローン規制法の具体的なルールが決まりつつあります。
これまで、有人の航空機しか対象とされていなかった航空法の定義が改定され「無人航空機」つまり「ドローン」が規制の対象となり、飛行の禁止空域や飛行の方法等について定めることを内容とする航空法の一部を改正する法律が9月11日に公布されました。
そして、年内を目処に、【具体的な規制内容】を決定するために、航空法施行規則の改正を行うことが予定されています。
航空法施行規則に対するパブリックコメントの募集
この航空法施行規則の内容については、現時点での「概要」案があり、民間からの意見を募るためパブリックコメントが募集しておりました。(10月15日締め切り)
撮影業務を行う業者や、測量点検、ドローンのハードメーカーなど多くの方々がパブリックコメントに応募されたということです。
航空法施行規則 改正の概要
航空法施行規則の改正に際して、次の4つが大きな焦点となります。
- 規制対象となる無人飛行機(重量など)
- 飛行禁止空域(高度制限・人口密集地域など)
- 飛行方法制限(夜間飛行・目視など)
- 飛行許可申請方法(機体シリアル・免許相当の技術経験など)
原則として、どこで、どのように飛ばすことができないのか、そして規則上飛行禁止と判断される場合に、どのような許可申請を行うのか、が大きなポイントとなります。
では、以下資料を元に具体的な施行規則の内容を参照していきます。
(資料DL元はこちら)
航空法施行規則の一部を改正する省令案等について
無人航空機の飛行に関する許可・承認の申請・審査要領
航空機及び装備品の安全性を確保するための強度、構造及び性能についての基準
なお、9月に成立した改正航空法についての資料と詳細はこちら
航空法の一部を改正する法律案要綱
規制対象となる無人飛行機
第一 無人航空機の定義
この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいうものとすること。
航空法の一部を改正する法律案要綱
①航空法上の無人航空機の対象について[法第2条第 22 項関係]
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして無人航空機から除くものを、重量が 200g 未満のものと定めることとする。
航空法施行規則の一部を改正する省令案等について
200g以内のドローンはホビー用のものだと、Parrot社のminidronesシリーズは60g前後なので飛行が可能なドローンです。またXtreme EYE Oneもバッテリー非装着で157gとバッテリーを含んでもギリギリ200gを超えない範囲の機体となります。
これらの機体は、空撮業務や運搬業務とはもちろん用途がことなり、主にホビー用途が中心です。ちなみに、空撮機として人気の高いInspire1は3kg、ホビーにも業務用にも多く利用されているPhantom3でも1.2kgであり、200gを大幅に超過してしまいます。この「200g未満」というしきい値が何をもって設定されたのか不明であり、異論反論が多く出る部分となります。
ドローンの飛行禁止空域
第二 無人航空機の飛行の禁止空域
一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
二 一に掲げる空域以外の空域であって、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
航空法の一部を改正する法律案要綱
a)の「進入表面等」という記載は、つまりは、「空港などの上空周辺」を指していることから、これまで航空法で有人航空機にも制限されていた空域がドローン・無人航空機にも適用されたと考えることができる。b)の「150m以上の高さの空域」についても同様だ。②無人航空機の飛行の禁止空域[法第 132 条関係]
i)航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域を、以下のとおり定めること
とする。
a)進入表面等(※)の上空の空域
b)a の空域以外の空域であって、地表又は水面から 150 メートル以上の高さの空域 ※進入表面等とは、進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第 56 条第1項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面を指す。
ii)人又は家屋の密集している地域を、国勢調査の結果による人口集中地区と定めることとする。
※地域の実情や無人航空機に対する様々なニーズがあること等を踏まえ、国土交通大臣が告示で定める地域については、人又は家屋の密集している地域から除く予定。航空法施行規則の一部を改正する省令案等について
そして、最も議論を呼ぶのが次の「人口または家屋の密集地域での飛行禁止」である。何を持って「人口密集地域」とするのかがこれまでは曖昧な部分となっていたが、今回の改正概要では、「国勢調査の結果による人口集中地区」と定められている。
国勢調査の人口集中地区とは
1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」とした。
※具体的な集中地区のmapが検索・参照できるツールがあったはずなので見つかり次第更新します。
飛行方法制限
第三 無人航空機の飛行の方法
一 日出から日没までの間において飛行させること。
二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保って飛行させること。
四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
航空法の一部を改正する法律案要綱
④無人航空機が地上又は水上の人又は物件から保つ距離[法第 132 条の2第3号関係]
無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に保つべき距離を、30mと定めることとする。
⑤無人航空機による輸送を禁止する物件[法第 132 条の2第5号関係]
無人航空機による輸送を禁止する物件として、航空機(規則第 194 条第1項)と同様 に以下の物件を定めることとする。(無人航空機の飛行のため輸送する燃料等の物件を除く。)
・火薬類、高圧ガス(引火性ガス、毒性ガス、その他のガス)、引火性液体、可燃性物質類(可燃性物質、自然発火性物質、水反応可燃性物質)、酸化性物質類(酸化性物質、 有機過酸化物)、毒物類(毒物、病毒を移しやすい物質)、放射性物質等、腐食性物質、 その他の有害物件、凶器航空法施行規則の一部を改正する省令案等について
すでに成立した航空法の「日出から日没までの飛行」つまりは「夜間飛行の禁止」は決定事項であったが、保つべき適切な距離については、「30m」という規則改正案がだされており、大いに異論が出てくることが想定されます。
飛行許可申請
③禁止空域の飛行に係る許可の申請書記載事項[法第 132 条ただし書関係]
法第 132 条ただし書の許可に係る申請を行う場合の申請書の記載事項について、以下の項目等を定めることとする。
・氏名及び住所
・無人航空機の特徴(製造者、種類等)
・飛行の目的、日時、経路及び高度
・飛行の禁止空域を飛行させる理由(飛行の方法によらない飛行に係る承認の場合は、飛行の方法によることができない理由)
・無人航空機の機能及び性能に関する事項
・操縦者の飛行経験、技能等に関する事項
・安全確保のための対策に関する事項航空法施行規則の一部を改正する省令案等について
機体重量、飛行禁止空域、飛行方法制限は、申請や許可がない場合の規制事項であり、夜間飛行や人との接近した撮影なども場合によっては許可がなされる場合があります。それを定義しているのが、以下の内容です。
機体性能基準、操縦技術水準などかなり細かい部分まで記載はありますが、必要事項や注意点をピックアップすると下記です。
- 原則「紙」による申請(様式1〜3)
- 様式1:無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
- 様式2:無人航空機の機能・性能に関する基準への適合確認書
- 様式3:操縦技能確認書
- 飛行体制、飛行前点検手順などのマニュアル添付
- 許可期間原則90日間(1年限度)
- 許可が降りた場合は航空局HPに掲載
これらの申請基準などを参照するに、実際の運用を行った経験がある方が作成されたことは汲み取れますが、原則紙による提出や捺印が必要などという無駄に非効率で、双方に不利益で、継続的な発展性のない(メンテ性の低い)仕組みはどうにかならないのでしょうか。何なら専用申請フォームを作りたく、私もパブリックコメントを。
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