電波干渉によるマルチコプター墜落を予防するための基礎知識

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ドローンを操作中に電波干渉しノーコン、クラッシュ

マルチコプターを操作中にノーコンとなり墜落することは意外と結構多く、Fox Newsではドローンの活用用途や規制の有無などを話している際にスタジオ内で墜落するという、ちょっと皮肉的なニュースが過去に流れていました。

http://www.photographybay.com/2015/02/07/fox-news-guest-crashes-drone-while-talking-about-drone-safety/

上記記事内の動画の2:30前後で、突如コントロールができなくなり、前方へ突っ込み、そのまま人にぶつかりクラッシュ。急なクラッシュにいかついアシスタントもさすがに慌てている模様。幸い、けが人もなく無事で良かったが、これはオペレータの知識・技術不足で招いた事故である可能性が高い。

上記動画のフライト環境は、室内のスタジオでWifiの電波が飛び交うところだったという。室内であればGPSが入りづらく、GPSが利用できないことによりホバリング操作の難易度が上がっているはずです。(Phantom 3のようにビジョンポジショニングシステムがあったらまた違ってくるが…)そして、決定的ではありませんがスタジオ内の他のWiFi電波との干渉によるノーコンということも大いに考えられる。

GoProとドローンの組み合わせによる電波干渉

GoProには、Wi−Fiモードにすることで、iPhoneなどの端末と無線接続し、カメラ操作や映像受信をモバイル端末で行うことができます。この場合にも2.4GHz帯を利用して通信をしています。そして、このGoProをドローンに搭載するという発想はよくあるのですが、何も考えないでドローンにGoProを装着すると墜落の危険があるので大変注意が必要です。

http://www.skybanzai.com/2014/09/07/phantom-2-drone-crash-in-whistler-canada-gopro-wifi-interference/

上記記事内の動画における具体的な設定状況は不明ですが、私が再現させた状況だと以下でした。

  • GoPro4とiPhone6をWifi接続し、映像受信状態
  • ドローンの底面に装着しリモコン、機体の電源をON
  • モータ起動し、GoProの映像も撮影開始
  • 機体を上昇させると、数秒後に突然モーターが停止し墜落

「GoPro<->タブレット」「マルチコプター<->リモコン」がそれぞれ2.4GHzのWifiを利用して、お互いが接着状態にあり電波干渉が発生しやすい状況にあったのだと推測されます。

どういうところがGPSが入りづらいのか?WiFiの電波が複数あることでなぜ干渉してしまうのか?
このような疑問などは、電波の基本知識があることで答えられますし、上述のような事象も予めちょっとの電波の知識があれば事前に防げたもの、気づけたもの、改善できたことが多いと思います。

そのため、今回は電波の基本や特性を理解して、安全なフライトのための予備知識が整理できればと思います。

電波の基本や特性を知る

電波は私達の目には見えないけど、身の回りには電波を利用したものが多く存在していることはよく知っています。電波は上述のようなGPSやドローンの機体のコントロールに利用したり、スマフォの通信、テレビやなどの放送、電波時計などの物体の検出・測定、電子レンジなどのエネルギーなど様々なシーンで利用されています。

電波や周波数とはなにか

電波の3つのパラメータで形作られていて、

  • 1つ目は、波の大きさを示す振幅で電波の場合は電圧または電力
  • 2つ目は、周波数で1秒間に波のサイクルが何回あるか
  • 3つ目は、波の位置の違いを表す尺度を位相

周波数という言葉があるように、電波は波のようなイメージをもてます。

電波と周波数

1秒間に波のサイクルが多いほうが周波数が高い

電波では位相の違う波が2つ以上重なると干渉を起こし、合成された波が強くなったり弱くなったりします。

位相が重なると電波干渉が…

位相が重なると電波干渉が…

つまり、冒頭のGoProとドローンの同時Wi-fi利用による墜落も、同じ2.4GHzの周波数で同じような場所からタイミングよく2つの電波の位相が重なるなどして干渉し、電波が急激に弱くなってしまったものと考えられます。

水の中は電波が通らない…電波の強弱

電波は伝搬するうちに弱くなる性質を持っています。電波は直進性というまっすぐ進む性質をもっていて、進む内に建物や樹木などに遮られたり、金属などに反射したりなどします。また、周波数の高い電波は雨や空気中の水分などに吸収されて減衰するため、晴れた日と雨の日とでは電波の届く距離が変わります

このように電波を通しやすいものと通しにくいものがあります。最も電波をそのままの形で進ませることができるのは真空状態であり、真空状態に対してどの程度電波を通せるかを比誘電率で表すことができます。

  • 乾燥した空気の比誘電率は1.0006で、
  • 紙や布が2〜3
  • コンクリートが6〜9
  • ガラスが3.5〜10
  • 水は81(!ほぼ水の中は伝搬しない)

このような比誘電率が高い=電波を通しにくい物体が電波を遮ったり減衰させてしまうことから、屋内などの多くではGPS信号が弱くなったり、電波が悪くて携帯が利用できないなどの現象が発生しています。

周波数が高いと遠くまで届かない?周波数ごとの性質

上述のように環境によって電波の誘電性が異なることがわかりましたが、電波はさらに、周波数ごとにも異なる性質があります。この性質や特長を考慮し、また際限あるリソースを配分するために、総務省により周波数帯ごとの利用用途が決められています。

総務省による電波の割り当て

総務省による電波の割り当て


参考:総務省 電波利用ホームページ 周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴
http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/summary/index.htm
※電波法の電波の周波数上限は300万MHz=3THz。(可視光は400〜800THz)

周波数の低い電波は情報を載せられる量は少ないが地表面に沿って遠くまで伝わりやすく、周波数が高いと伝送量は大きくなるが直進性が高いために、少し大きなモノがあると遮られてしまい遠くまで届きにくいという特性があります。

私達は電波に情報を乗せてTVを見たりラジオで音楽を聞いたりしますが、情報をどのように載せるかというと、単純化すると電圧の変化させてその変化で情報を表すということです。そのため、周波数の高い(=1秒間に波のサイクルが多い)電波の方が1秒間に電圧が変化する回数が多くすることができるため、周波数の高い電波ほど送ることのできる情報量は大きくなるということです。

電波の利用について

電波の基本部分について確認したところで、電波がどのように利用されているかをの説明です。

マルチコプターでも利用が多い2.4GHzの電波利用

現在日本のマルチコプターのリモコンの送信機の周波数は2.4GHzを利用することが多いです。上記図だと極超短波=UHFの帯域を利用しています。よくWi-Fi接続と記載されていますが、Wi-Fiとは無線LANの規格のことであり2.4GHz-2.5GHzに限定されているわけではありません。IEEE 802.11gなどのような2.4GHz帯を利用する規格や、IEEE 802.11acなどのように5GHz帯(5.15~5.35GHz/5.47~5.725GHz)を利用する規格がありどちらもWi-Fiと呼ぶことができます。

この2.4GHz帯のある極超短波という電波帯はISMバンドといって産業・科学・医療で自由に利用ができる汎用バンドであり、10mW以下の低出力の電波なら免許不要で利用できる帯域です。(周波数により基準は異なる)そのため、利用者が多くあり混雑しているのが現状です。(電子レンジやブルートゥース、無線LANやプラズマ発生装置なども同じく2.4GHzを利用)

上記のように、2.4GHzには同じ周波数帯の電波が多く飛び交っているために位相が重なりやすく電波干渉が起きやすいということが言えます。Bebop droneでは、今回Wi−Fi接続にIEEE802.11acの規格も含まれているため5GHzも利用することはできますが、屋外での利用は認可されていないので利用できず。5GHz帯は2.4GHzに比べて直進性は高まりますが、この帯域を利用できれば新しい高速な通信規格を利用でき、ノイズも少ないため電波干渉はしにくくなると考えられます。

マルチコプターで5GHzは使えないのか?

電波というのは、上述の総務省が利用できる電波帯を割り当てしているように、リソースに限りが有りルールを持って利用する運用となっており、電波を発射する以上は原則として免許が必要となる。

ただし、微弱な無線電波を発する場合などは、免許が不要となるケース(小電力無線局)があり、日本でホビー用途で販売されている多くのマルチコプターはこれに該当する。2.4GHz・5GHz帯においては以下の条文が該当する。

四  主としてデータ伝送のために無線通信を行うもの(電気通信回線設備に接続するものを含む。)であつて、次に掲げる周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・〇一ワット以下であるもの(以下「小電力データ通信システムの無線局」という。)
(1) 二、四〇〇MHz以上二、四八三・五MHz以下の周波数
(2) 二、四七一MHz以上二、四九七MHz以下の周波数
(3) 五、一五〇MHzを超え五、三五〇MHz以下の周波数(屋内その他電波の遮蔽効果が屋内と同等の場所であつて、総務大臣が別に告示する場所において使用するものに限る。)
(4) 五、四七〇MHzを超え五、七二五MHz以下の周波数(上空にあつては、航空機内で運用する場合に限る。)
(5) 五、二一〇MHz又は五、二九〇MHzの周波数及び五、五三〇MHz又は五、六一〇MHzの周波数(屋内その他電波の遮蔽効果が屋内と同等の場所であつて、総務大臣が別に告示する場所において使用するものに限る。)

引用:電波法施行規則 第二章 第一節 第六条 4

(漢数字いい加減やめて欲しいですよね。読みにくすぎる)

上記のように、5GHz帯については、屋内のみでの制限などがある。利用するためには別途登録を行う必要があるとのこと。2.4GHzについては、0.01W以下(/MHz)というのがしきい値となり、Phantom 3などのドローンの送信機の出力はこの値以下に抑えてあり、技適マークも付いている送信機であるため法律上は免許もなく利用ができる。反対に超過している場合は小電力無線局とみなされないので免許を申請する必要があります(※総務省に2015/6/17確認)

今後の技術革新や新たな周波数帯の割り当てに期待

当面はこのまま2.4GHzを使わざるを得ない状況が続きますが、その分、通信の高速化技術やマルチパスなどへの対策のように技術的な対策にも今後充実化してくるはずです。そしてマルチコプターの周波数帯の再割り当ても現在再検討されているとのことでした。干渉の少ない帯域でより充実したフライトできるようになることに期待大です。

最後に、

総務省の担当者いわく「基準以下だから、小電力無線局だから、技適がとれているから、といってそれだけで安全が確保できるわけではない。技適マークや各種制度に安心感を持たないほうがいい」と電話でお話していましたが、仰るとおり仮に基準より低くても、第三者が電波障害を受けた場合に迷惑がかかるかもしれないことなど理解しておく必要があります。

最低限の電波の理解があれば、むやみにGoProを搭載してFPVしてリモコンと混線して墜落!なんてことにもならずにすみますし、操作するときに周囲の電波状況の確認など気にすることでより安全なフライトができると思います。ぜひ安全飛行でドローンにポジティブな流れを!

電波法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO131.html

電波法施行規則

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F30901000014.html

参考文献

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2 Responses

  1. 2015年7月18日

    […] [BD]電波干渉によるマルチコプター墜落を予防するための基礎知識 ドローンを操作中に電波干渉しノーコン、クラッシュ […]

  2. 2015年9月23日

    […] [BD]電波干渉によるマルチコプター墜落を予防するための基礎知識 ドローンを操作中に電波干渉しノーコン、クラッシュ マルチコプターを操作中にノーコンとなり墜落することは意外と結構多く、Fox Newsではドローンの活用用途や規制の有無などを2015-06-18 18:21 […]

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