マルチコプター・ドローンの航空力学

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離陸した瞬間から安定ホバリングAR Drone2.0

離陸した瞬間から安定ホバリングAR Drone2.0

センサーの余りついていないマルチコプターなどのドローンを飛行させていると、最初の内は、うまくホバリングできず前後左右にずれてしまい壁に激突…などがあると思います。屋外でも少しスロットルを上げただけと思ったら急に上昇してしまったり。何気なくスティックやスマフォの操作して機体を動かしているわけですが、どのような仕組みで動いているか等、気になるかと思います。

また、ある程度操作になれてきて屋外で飛行させる場合は、「飛んでいるものは落ちるもの」として墜落に対する事前知識などを仕入れておく必要もあると思います。そのために、航空力学や気象学、また電波に関する知識を取り入れて理解することは重要なことだと思います。

今回、マルチコプターの動きや仕組みについて航空力学で得た情報を交えて記載しました。
ドローンの着陸の注意点など、少しでも理解促進につながれば!

マルチコプターのプロペラ・モーターの動き

クアッドコプターのモーターの回転方向

クアッドコプターのモーターの回転方向

4つのモーターがあるクアッドコプターの場合は、隣通しのモーターの回転を反対にすることが大半です。これはプロペラの回転による反作用(トルク)をお互いの力で打ち消すという仕組みが基本にあります。


反作用というのは、1つのモーターとプロペラと機体を想像するとわかりやすいのですが、モーター・プロペラを高速回転すると機体はどうなるか?それは、プロペラが右周りに回転していたら、機体は左回りにぐるぐる回ってしまいます。これを反作用といいます。ニュートンの運動の第三法則の一つ「作用反作用の法則」です。

この1つのプロペラ・モーターで発生する作用反作用の力を、4つのプロペラ・モーターで打ち消し合うことによりクアッドコプターは安定させることができます。

そして、前後左右などを動かすときに、4つモーターの内、前方のモーターの回転数を落とすことで前進移動を行います。極端な話をすると、リモコンで操作しているのは、各モーターの回転数の上げ下げという事になります。

各種センサーの働きにより補正

実際の話はそこまで単純ではなく、ここに加速度センサーなどを用いて機体の傾き具合などをデータ化して回転数に補正をかけるなどします。この補正をかけるために、「6軸ジャイロ」や「単眼カメラ」、「ビジョンポジショニング」等とよく見かける各種機能やセンサーが使われています。

ちなみにどのようなセンサー類があるかというと以下の様なものがよく使われています。

  • ジャイロセンサー: 回転する変化(加速度)を検知
  • 加速度センサー:移動により生じる加速度を検知しどの方向にどれくらい動いたかを計算
  • 気圧センサー:気圧差を計測し、高度変化や高度位置を計算
  • 磁気センサー:方位や場所に起因する磁気の変化を捉える
  • 超音波センサー:対象物からの距離を監視する
  • ポジショニングカメラ:対象物の形状や色などを認識してデータ化して位置情報などに利用
  • GPSユニット:衛生からの信号を拾って位置を特定する

AR Drone 2.0で革新的だったのは、(3年以上も前に)超音波センサーなどで距離を計算して離着陸時に自動的にホバリングされてたことかと思います。今でこそPhantom 3などにもついていますが、こうした各種センサーによって機体がとても安定しているわけです!

固定翼、ヘリコプターと比較してマルチコプターの違いは?固定ピッチとは何?

飛行機やドローンには色んな形があって、私達が旅行時にのる固定翼やヘリコプターのような回転翼などがあります。

それぞれの形状や機能によって働く力学が異なりますが共通なのは、いつでも「重力・揚力・抗力・推力」の4つの力が機体に作用するということです。

飛行機は重力(下向き)よりも揚力(上向き)の力が大きければ機体は上昇するし、抗力(後ろ向き)と推力(前向き)が同等であれば等速飛行(速度が一定な直線飛行)をするように、これらの力のバランスを調整することにより前後左右の機体の運動が可能となります。

固定翼の場合の離陸の仕組み

※引用:紙ヒコーキで知る飛行の原理 身近に学ぶ航空力学 図2-12 翼型まわりの圧力分布

※引用:紙ヒコーキで知る飛行の原理 身近に学ぶ航空力学 図2-12 翼型まわりの圧力分布


簡易的な説明ですが、

  • 飛行機は離陸するときに、前に進む力である推力を産むためにエンジンを用います。
  • 前進すると、前進する力を妨げる抗力が生まれます。
  • そして、重力のある状態で飛行機に生えているメインの大きな翼に風が当たることによって上向きの揚力を生み出します。


この時に重要なのが翼のピッチ(=迎え角)です。

この迎え角の大きさにより揚力と抗力が変わってきます。上記図から仮に45度迎え角を広くしたら抗力が強くなり減速するし、反対に迎え角をなくすことにより揚力を殺すこともできます。このように固定翼を持つ飛行機などはピッチを変更することにより、機体にかかる力を調整することができます。

なぜ、飛行機のピッチの話が出てきたかというと、飛行機やヘリは可変ピッチであるのに対して、最近の利用されているマルチコプターは基本的に固定ピッチでありプロペラの迎え角は一定となります。そのため回転数により機体に作用する4つの力をコントロールしています。

固定ピッチにすることにより構造をシンプルにでき、回転数の調整をより注力するためにも各種センサーの技術革新やセンサーの軽量小型化なども進んできたと言われています。反面、固定ピッチにすることにより、デメリットもあります。ここがとても重要です。

固定ピッチにすることによるデメリット

私の言葉で誤解が生まれるといけないので、固定ピッチのデメリットは直接下記を見ていただくのが一番と思います。こちらの技術解説は大変わかりやすく、何度も拝見させていただきました。マルチコプターを操縦される方は熟読されることをおすすめします。

参考:ドローン空撮[技術解説] - 固定ピッチのメリットとデメリット

103) 固定ピッチのメリットとデメリット:マルチコプター空撮[技術解説]
マルチコプターと従来型ラジコンヘリコプターとの最大の違いが、「固定ピッチか?可変ピッチか?」 この特徴について考えて見ます。
固定ピッチは、下降動作と上昇気流に極めて弱い。 これが、マルチコプター(固定ピッチ)の最大のデメリットです。この事は、マルチコプターが根底に抱えている問題。どんなに機材が進化しても永遠に解決しません。実機でも、「セットリング・ウィズ・パワー」、「ボルテックス・リング・ステート」などの現象が発生します。…

上記の説明にあるように、モーターの回転数のみに頼ることになる固定ピッチは、急下降と上昇気流に弱いことがわかります。このようにマルチコプターの良い面だけでなく、デメリットやそれによる影響や特性を理解しておくことは、安全面や今後の技術革新においてとても重要です。

(上記から私はマルチコプターの下降時においては、直下に急下降させないよう螺旋状にぐるぐるゆっくりとおろすようにしています。)

墜落や故障時のフェールセーフ

飛行機も過去には墜落が多く、墜落原因を減らすべく技術革新が進みましたが、さらなる安全対策としてフェールセーフという考え方が生まれ、機体などに故障や傷害が発生した際に全体の機能が著しく損なうことがないように構造的な対策が施されました。

これは、部品を2重構造にしたり、バックアップ部材を用いたりなど構造的・ハード的なものと、マルチコプターにもあるようにソフトウェアの制御としてノーコントロールになった場合の自動帰還などがあります。

マルチコプターの場合、上述したような固定ピッチ起因の問題に対処するフェールセーフ構造の例としては、「パラシュートを用いること」などがあげられると思います。

また、モーターがひとつ故障した場合など、ヘキサコプターなどのように6つのモーターがあれば冗長構成を組むことで墜落を避けることもできます。もちろんそれらにもコストや重量など一長一短あるので、安全対策については、ハード開発各社でも大きな課題となっています。

以上、航空力学の観点から見たマルチコプター型ドローンのメリット・デメリットや安全対策についてでした。

参考にした航空力学の本はこちらです。

航空力学は、気圧や空気密度や温度がどう高度と関係してくるか、など現在使われているセンサー類の役割の理解にも良いです。また、気象との関係が深くセットにして学習するのがお勧めです。
(ちなみに、マルチコプター×航空力学をメインに説明した書籍ものはなかったです。 )

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3 Responses

  1. takaharu takama より:

    “トライコプターの飛行原理解説” と検索したら クワッドコプターの飛行原理が出てきたのですが詳細は分からないのでしょうか。

  1. 2015年9月27日

    […] また、モーターの回転方向は、隣同士異なります。これは過去の記事でも説明されていますが、モーターの回転により生じる反作用を他のモーターにより調整するためでもあります。 [BD]マルチコプター・ドローンの航空力学 センサーの余りついていないマルチコプターなどのドローンを飛行させていると、最初の内は、うまくホバリングできず前後左右にずれてしまい壁に激突…などがあると思います。屋外でも少しスロッ2015-06-13 19:52 […]

  2. 2015年10月21日

    […] 以下は、ドローン入門時に見ていた方が良いと思うものです。 [BD]マルチコプター・ドローンの航空力学 センサーの余りついていないマルチコプターなどのドローンを飛行させていると、最初の内は、うまくホバリングできず前後左右にずれてしまい壁に激突…などがあると思います。屋外でも少しスロッ2015-06-13 19:52[BD]電波干渉によるマルチコプター墜落を予防するための基礎知識 ドローンを操作中に電波干渉しノーコン、クラッシュ マルチコプターを操作中にノーコンとなり墜落することは意外と結構多く、Fox Newsではドローンの活用用途や規制の有無などを2015-06-18 18:21 […]

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