ドローンとはなにか?
最近は各種メディアや新聞などでも「ドローン」というワードが跋扈していますが、それらに対して、Twitterなどでも「ドローンというのはちょっと違う…」とか「ドローンではなくマルチコプターを呼ぼう」といわれていることがありました。
確かに一部のメディアでは、マルチコプターの特製を特に理解せずに「ドローン」と一緒くたによんでいることもあるとは感じますが、なぜドローンと呼ぶことに違和感があるのか、どのような使い分けで実際はどのような違いがあるのか、今一度、「ドローン」と「マルチコプター」の違いを整理してみました。
ドローンとは?ドローンの語源は?UAVとUASとは?
ドローンは英語で「Drone」であり、オスのミツバチを意味する(Wikipedia)。ブーンとハチのような音をすることから転じて無人飛行機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を意味することになり、FAA(アメリカの連邦航空局)ではドローンについては「UAS (Unmanned Aircraft Systems)」と呼称されています。
つまり、ドローン・UAV・UASに関しては、「有人ではない」無人で遠隔操作を基本とした航空機全般を指しているとかんがえることができます。その中で、軍用や商用の区別であったり、航空機の種類として、固定翼(通常の飛行機等)や回転翼機などの分類があります。
ドローン自体は元々軍用のもの
ドローンは元々軍用に開発がなされたもので、敵地の上空の偵察だけではなく、ミサイルの照準を合わせる役目をしていたなど古くから利用されていました。ドローンの起源や軍事利用における詳細はこちらの書籍で確認できます。
ちなみに、当時、ドローンを作る工場がありましたが、なんとその工場で働いていたと言われるのが、かの「マリリン・モンロー」です。まだ若いマリリン・モンローが工場勤めをしており、そこに取材に来た報道員に見出されて女優の道に進んだとも言われています。ドローンとマリリン・モンローが関係しているとはさすがに驚きです。
マルチコプターとは
ヘリコプターのような回転翼を用いて飛行する機体を指し、3つ以上のモーター(結果的にはプロペラ)を持つものをマルチコプターと呼びます。
トライコプター、クアッドコプター、ヘキサコプター、オクトコプターなどの呼称は、モーターの数におうじて異なります。
名称に数字を表すワードがあるように、「トライは3つ」「クアッドは4つ」「ヘキサは6つ」「オクトは8つ」です。ギリシャ語とラテン語の語源が混じっていますが、トライアングルやクアッドコア、ヘキサゴンやオクトパスなどのワードはご存知の方が多いと思いますが同じ語源となります。
航空機・ドローン・マルチコプターなどの分類
上記までの分類や種類について、簡単にマインドマップで整理した物が下記です。
※上記図において、2015年6月時点の航空法でも定義されている分類では、ドローン=無人飛行機が航空機には含まれず(人が乗るものが航空機のため)、模型飛行機に含まれるかどうか明確な区別はできておらず、いったんすべて区別して分類しています。
マルチコプター自体は、あくまで航空機の種類であり、有人・無人のどちらのタイプも存在します。一方無人機には、米軍の開発したプレデターのように固定翼の航空機もあれば、ホビー用途としても利用されているDJI Phantomシリーズのような回転翼機のクアッドコプターも存在します。
つまり、最近のドローンやマルチコプターと呼ばれているものは、無人飛行機で、回転翼が複数あるものであれば、ドローンともマルチコプターとも呼ぶことには問題はないと思います。
またラジコンヘリがありますが、ラジコンはラジオコントールであり、無線電波を用いて操縦することを指します。そのため、ファントムなどはラジコンである、といえますが、ドローンはラジコンであるというのはおかしいです。
ドローンをマルチコプターと呼ぶことに違和感あり?
ドローン自体は無人航空機なので、少し広すぎる概念です。
ファントムはドローンでもあるけど、より機体の特長を表現するのであれば、マルチコプターのクアッドコプター型ドローンです。
上述してきたように、無人機といえど固定翼機や回転翼機などがあり、回転翼機でもヘリコプターのようにメインの回転翼(メインローター)と尾部の回転翼(テールローター)で動くタイプもあるし、マルチコプターのように3つ以上のプロペラで飛行するものもあります。
よく知らないままドローンと呼ぶことはままあると思いますが、あながち間違えではないです。ただし、おそらく今後重要なのは、ドローンの機体分類によって、操縦方法や飛行時の注意点、または規制のかけ方が異なってくることがあると思います。
「ドローンが墜落した」と言っても、マルチコプターが上昇気流にあおられコントロールを失い墜落する場合などのように機体特性に応じた事象がありますし、クアッドコプターは4つのモーター・プロペラであり、1つでもモーター停止すると墜落することがありえますが、ヘキサコプターのように6つのモーター・プロペラの場合、1つのモーターが死んでも他のモーター・プロペラで機体安定をさせるような冗長性を持たすことも可能になります。
また、軍用や商用、またはホビーを含めた無人飛行機であるドローンを「上空150m以上飛行禁止」などのように言及することは余計な混乱を産むとは思います。そのため文脈においては、ドローンというよりもマルチコプター、マルチコプターというよりはクアッドコプターと表現するほうがベターなケースはあるということは理解できます。
ドローンという呼称
私は、ドローン(Drone)という呼称が好きです。
響き・発音も良く短いワードで使いやすいですよね。
少なくとも機械的な印象のマルチコプターとかクアッドコプターよりも愛着がもてますよね。
もちろん不用意な混乱などを産まないためにも言葉のニュアンスや文脈を気をつけることもよいですが、現在ニュースでドローンといえば、「おそらくクアッドコプターのホビー用途だな」というのはある程度わかりますし、専門的な記事やお話などの場合を除いては(逆に専門的な記事などであればドローンという単語も少ないとは思いますが)、あまり過敏に反応しないでもいいかな?と個人的には思います。