ドローンなどのマルチコプターを飛行させていると、風や天気の状態に敏感になります。もちろん雨だと飛ばすことができないし、ちょっと風が強い(およそ3~5mの風が吹いている)時には飛行させるのに注意が必要になる。今まで風のことなど、ほとんど気にしたことがなく、どうして風が吹くのか、どうして天気が変わるのか、など全くと行っていいほど無知でした。
ある程度操作しているとわかるのですが、突発的な風が吹くことで機体が煽られたり、風向きと機体の進行方向によって操作が難しくなったりします。また、地上と上空では風の向きや強さがちがったりもして、無知であることが怖く学習したいと思いました。
予め、風については、ネット上でざっとは調べておりました(風について今一度調べてみた)が、その事前知識の上で読んだ本が下記です。
基本的なことが分かりやすく書いてあり、参考になりました。私の場合は、まずは「なぜ晴れるのか?風が吹くのか?などの基本知識」や「雨が振りそう、風が吹きそうを見分けたい」というのがありました。そちらを考慮して、本書の読書中のメモをいくつかピックアップします。
なぜ晴れるのか、なぜ風が吹くのか
天気現象の一番の原因は、太陽による地球への加熱と自転作用がほとんどであるということを理解しました。太陽は地球の各所をまばらに温めているわけですが、地球は北極から見て反時計回りに(東向き)自転しています(ちなみに赤道上の自転速度は約1670km!!)。
そして、赤道で温められた空気が上昇して北極に向かうと、北半球ではコリオリの力が働き必ず右に曲がる。つまり西から東への移動が起こる。これが風になり、温度の変化や湿度の変化をもたらすし、気圧の変化も発生させる。そして、晴れや雨と言った天気現象を発生させる要因にもなる。
コリオリの力とは
「反時計周りに回っているものに、まっすぐの線を引いても右に曲がった線になる」というように、一見当たり前の事象で発生する力をコリオリの力といいます。画用紙にまっすぐ縦線をかくことはできますが、画用紙を反時計回りに回しながら縦線を書くと、線は右にまがるという現象です。
大気の分類
層 | 内容 | 説明 |
---|---|---|
対流圏 | 地上から12km | 気象現象の起こる層 |
成層圏 | 12kmから50km | 天気現象が無く、ジェット機が飛行する |
中間圏 | 50kmから80km | 低温な層 |
熱圏 | 80kmから500km | 2000℃の高温。オーロラが発生する場所。 |
外気圏 | 500km~1000km | 大気の一番上。 |
標準大気
- 海面上の気温:15℃
- 海面上の気圧:29.92インチ
- 気温減率:高度1000ftにつき2℃、1kmにつき6.5℃
- 水蒸気を含まない乾燥空気
- 空気密度:1.225kgm-3
気圧=高い天空からの空気の重さ
羽毛布団を100枚積み重ねた時のイメージで、一番下はぺっちゃんこだけど、一番上はふわふわになるのと同じように、上空の空気はふわふわと軽そうなのに対して、地面に行けば行くほどぺっちゃんこの密度の高い空気になる。
空気と水蒸気
温かい空気は冷たい空気よりも水蒸気を多く含むことができる(髪の毛を乾かすドライヤーは熱風のほうが乾きやすいのと一緒)。また、空気の温度を下げていくと、ある温度で空気は飽和し、水蒸気を保持できなくなり水となる。この時の温度を露点温度という。昔、おなべで水蒸気を作る実験をやった記憶が…。
豆知識
ビールのジョッキの外側の水滴がついているのは、ジョッキに触れた空気が冷やされて露点温度に達して水滴になったから。
高気圧と低気圧
高気圧:周囲より気圧の高い部分であり、密度が濃くて重いので気圧が高くなり下へ下へと落ちていく。そして、落ちたところの周囲の空気は逃げ場を探して周囲に発散する。この発散する空気は、コリオリの力により、右周りの風となる。
低気圧:周囲より気圧の低い部分であり、周囲から低気圧の中心に集まった空気は強制的に持ち上げられるので、低気圧の中心付近は上昇気流になる。コリオリのちからにより右に曲がるため、反時計回りの渦が出来上がる。高気圧と低気圧の気流の向きが違うのは、このような理由だった!
いろんな風
ウィンドシアー
これまで吹いていた風の風向風速が急変すること。低高度においては危険なので注意が必要。
- 気温の逆転層
- 前線の知覚
- 晴天乱気流が発生
- サンダーストームが発生
山岳波
40kt以上の強い風が直角に山にぶつかると山の風下側で山岳波という乱気流が発生する。富士山近辺は乱気流が発生しやすいので注意。
と、いうのが気象・天気における基本知識となる。私はメモ書きをつらつらと書いただけだが、同書ではそれがわかりやすく説明されていてとても参考になりました。
自然や動物などから天気を予測する観天望気
同書で面白いなと思ったのは、次の「観天望気」。「蟻が行列すれば雨が降る」と昔、おばあちゃんに言われたことがあるような…。
この観天望気と言うのは、一見迷信のような感じのものであるが、そうではなく根拠のあるものも多くあるという。Wikipediaから一部引用すると、
統計的に気象庁発表の天気予報の的中率は80%程度といわれる(数値予報用のスーパーコンピュータでもこの程度が限界である)。残る20%は観天望気から予知できる場合が多い。船舶免許の試験で「現代においては天気予報が発達しているため、出航にあたり観天望気の必要はない」ことの正否を問われる問題が出されることがあるが、正解は「誤り」である。さほど海上においては現在でも重要視されている。
[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%B3%E5%A4%A9%E6%9C%9B%E6%B0%97]
)))9))http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%B3%E5%A4%A9%E6%9C%9B%E6%B0%97
晴天になる観天望気
- 南風は北に変わると晴れ
- 煙、西になびくと雨、東になびけば晴れ。
- 朝、クモの巣に水滴がかかっているのは晴れ
- クモが巣を張れば雨が降らない
- 雨が降った後に虹がでると翌日晴れ。
風になる観天望気
- 朝日の出ずるとき、その色青く見ゆるは大風雨の兆し。
- 星がしきりにまたたくと強風になる。
- 海水濁りて潮流急なれば、近日暴風あり
- 白雲糸引けば暴風。
- 雲の行き違いは暴風雨
- うろこ雲が出たら、三日のうちに雨または風。
- レンズ雲が見えたら風が強くなる。
雨になる観天望気
- 春の東風は雨
- 水面に魚の飛び上がるは、雨の兆し。
- 羽アリが多く出れば雨が近い。
- 羊雲やうろこ雲がでると翌日雨
参考リンク
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN6/4_marile/kantenbouki/kantenbouki.htm
フライト前の風向きや風速の計測により、風などが身近になったためか、こうした観天望気なども面白く感じた。まだまだ、地形やその時の気象状況などにより上空の風などをつかむことはできないが、気象学の入門としてとてもよいものだと思いました。
風速計はこちら。