先日ドバイで賞金総額1億円のドローンレースが開催され、ドローンを使った「スカイスポーツ」としての着実に認知され始めています。最近は空撮のみ行っていたドロニストや、これまでドローンに興味の無かった若い世代が興味を持ち始めています。今回のドローンレースで優勝したのは15歳の少年。FPVドローンレース自体も始まってまだ1,2年の世界であり、まだまだチャンスはたくさんあります。
今回は、ドローンレースを参加するにあたって必須となるドローンの機体や各種パーツの選定についてで、今回は、フライトコントローラーとフレームに限定します。
レース用のパーツは日々進化している!?
FPV用のビデオ送受信機を搭載したドローンレース機には大まかに下記パーツを搭載する必要があります。
- フライトコントローラー*
- フレーム*
- ESC
- モーター
- プロペラ
- バッテリー
- プロポ操作用受信機
- ビデオ送信機
- カメラ
例えば、フライトコントローラーはF3の高性能なプロセッサーが搭載されたものが主流になり、利用するファームウェアはCleanFlightが多いです。またESCは、Oneshot対応のdump済のもの、XnovaやCobraのような良く利用されているモーターなど種類も様々ですが、どのような物が流行ってたり使われていたりするのか、またどのような反応があるのか、気になる方は多いはずです。
Phantom4などの空撮や測量機においても技術革新や機体改良は日進月歩ですが、FPVドローンレース機においてはよりその改善スピードが早いため、最近仕入れた情報が既に古い可能性があります。そのため、以下においても、記事掲載時点のものである点は注意していただき参考にしてもらえればと思います。
フライトコントローラー(FC)とファームウェア
FCは、ドローンの「脳」の部分であり最も重要といえる部分です。MacやWindowsなどのPCにもスペックがあるように、FCにもスペックの違いがあります。FCの購入を検討していると「F1」「F3」といった記載が見受けられますが、これはプロセッサーのスペックの善し悪しと捉えても問題ないです。(STM32 – Wikipedia, the free encyclopedia)以下、主要なFCの一覧です。
FC | 参考価格 | 気圧/コンパス | プロセッサー | 特徴 |
---|---|---|---|---|
CC3D | 2000円 | × | STM32(32bit) F1 | メジャー・情報が多い |
NAZE32 Acro | 2000円 | × | STM32(32bit) F1 | CleanFlightの定番 |
Flip32 | 3000円 | × | STM32(32bit) F1 | |
Multiwii SE 2.5 | 5000円 | ◯ | (8-bit, 16MHz) | レース外用途 |
SP Racing F3(Acro) | 9000円 | × | STM32(32bit) F3 | 人気 |
SPRacing F3 Mini | 6000円 | × | STM32(32bit) F3 | 軽量化 |
SP Racing F3(Deluxe) | 10000円 | ◯ | STM32(32bit) F3 | 気圧・コンパス付き |
KISS FC | 6000円 | ? | STM32(32bit) F3 | |
Lumenier LUX | 5000円 | ? | STM32(32bit) F3 | |
Team BlackSheep PowerCube | 15000円 | ? | STM32(32bit) F3 | 豪華… |
FCのF1とF3の違い
上記でF1とF3の違いはスペックの善し悪しと記載しましたが、ここではより詳細に。
F1とF3では、最大クロックスピードは72MHzと同等(F4は180MHz)だが、浮動小数点の計算をより早くできるという特徴があり、それが姿勢制御のレスポンスに影響している。また、F3の場合は、シリアルポートが3つ付いているのも大きな違いであり、例えば、F1ボードではできないSBUS接続・OSDのテレメトリー情報・Blackboxの同時利用が可能となる。
私は、F1のFCでスタンダードだったCC3D(OpenPilot)から入り、F3のSP racing(CleanFlight)に移行している。導入やお試しとして、F1のCC3DやNaze32を購入するのはありだが、上述のコストを許容できるのであれば、最初からF3ボード(SP racingが多い)を購入することをおすすめする。
ファームウェア
FCにはジャイロセンサーや気圧センサーだけでなく、PCとの接続に使うUSBポートやテレメトリ用のポート、種類によってはログ保管用のSDカードスロットなど、FCによって各種機能が搭載されています。これらの接続情報を管理したり、設定内容を変更するのがファームウェアであり、OpenPilot, BaseFlight, CleanFlightが有名です。
CC3DのデフォルトとなっているOpenPilotはウィザード形式の設定が多く、初心者には馴染みやすい一方、詳細の設定値変更や、ファームウェア自体の開発がストップしています(派生が出てきている)。一方CleanFlight(BaseFlightから派生)は、活発な機能開発が行われており、発展し続けています。
◯これらを考慮すると、フライトコントローラーについては
- 予算がない、もしくは試しに行うなら、NAZE32 Acro
- 予算がある、もしくはレースに利用するなら、SPRacing F3 Mini
が、良いのではないでしょうか。